フクシマ原発事故による海洋汚染に関する研究で有名なウッズホール海洋研究所のケン・ブェッセラー教授がビクトリアで講義をしたので見に行った。英語のタイトルは↓
Presenting Fukushima: A View from the Ocean at
St. Anne's Academy Auditorium at 7 p.m. in Victoria.
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講義の様子。年配の方がたくさん聴講していた。もっと若者がくればいいのに… |
初めにブェッセラー教授は2011年の東日本大震災による原発からのセシウム流出の経路と直後から現在に至までの日本近辺の海のセシウム量の変動を震災前の量と比較しながら伝えていた。これら基本的な知識は「フクシマと海」というウッズホール海洋研究所出版の「Oceanus」という雑誌で詳しく書かれているので興味のある方は是非見てほしい→
http://www.whoi.edu/oceanus/flipbook/oceanusv50n1-japanese/index.html
今回の講義のなかで自分が得た新しい情報は以下の通り:
- ハワイ及び北米西海岸ではフクシマ発のセシウムは現在のところ検出されていない。海洋モデルは2014年4月には到達して2016年頃にピークに達すると予測 (Rossi et al 2013)。
- 新しく取り入れようとしている計測方法を紹介(以下の写真)。
- Wave gliderというサーフボードのような板に観測装置を取り付けて沿岸沖に流して自動的にセシウム量を観測。
- Rad-band (Radiation Bandの略)という放射能物質量を計測してくれるバンドをサーファーの足に取り付けて海水のセシウム量などを観測。
- 北米でもフクシマ汚染による影響を恐れて西海岸でとれた魚を食べることを拒む人がいる。ということをコミックの一コマを用いて紹介。そのうえで正しい情報を得るためには知識ある研究者が必要と主張。しかし原子化学(核化学)出身の博士号卒業生はここ数十年少なくなっている傾向にあると説明。グラフによると2005年の卒業生数は5人(これはアメリカの大学での話だと思う)。
- 今後北米西海岸への影響を調べる為にはもっと多く(広範囲&の観測データが必要になってくる。アメリカ政府の支援が足りないので民間企業や研究機関に協力を頼んでいる。独自で開設したホームページはこちら→http://www.ourradioactiveocean.org/
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これから取り入れようとしている技術を紹介。 |
まだまだこれからわかってくることが増えてくるという感じで今後の研究に期待。彼のように積極的に政府や民間企業に協力を求める活動はすごく大事で見習うべきだと思う。
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